「さもありなん」と思わせる暴露本「炎と怒り」
思わず赤面してしまうようなドナルド・トランプ大統領に関するエピソード満載した暴露本「Fire and Fury」(炎と怒り)は、日本をはじめ世界各国で翻訳され、世界的ベストセラーになっている。
確かにトランプ氏の「一盗二卑」主義やら後頭部のハゲ隠し手術とかが暴露され、エンターテインメント性は高い。
大統領周辺は名誉棄損で訴える構えを見せているものの、いまだに実行には移していない。大統領自身、「でっち上げだ」と全面否定しているが、これがかえって真実味を強める結果になっている。
著者のマイケル・ウォルフ氏は、マスコミ界でも毀誉褒貶の激しい人物。「調査報道というよりも創造逞しく、話を面白おかしくする男」(政治評論家)といった評価すらある。
近著についても、どこまで実際に取材したのか、あるいは創作したのか、意見が分かれている。
そのためか、読者も書かれていることを100%真に受けているわけではない。しかし、トランプ大統領なら「さもありなん」的に受け止めている。内容が面白いのだ。
かたや「皆が読まねばならない決定版」
「Fire and Fury」に次いでトランプ大統領に関する本は、新年に入って3冊出ている。
その中で今一番注目されているのが本書、「It's Even Worse Than You Think」(あなたが考えているよりも深刻だ)。
著者はニューヨーク・タイムズの調査報道記者。ロサンゼルス・タイムズ記者時代にはロサンゼルス市警の暴行事件を暴いてピューリッツアー賞に輝いている。
1988年以降、トランプ氏を徹底取材し続け、2017年には「The Making of Donald Trump」を上梓している。