「正義の味方」だったNYタイムズ、CBSよ、お前もか
ハリウッド映画界の重鎮プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏によるセクハラ行為を高級誌「ニューヨーカー」が暴露したのは1か月前。同氏がハリウッドを牛耳る「帝王」だっただけに長年噂されながらメディアは手が出せなかった。
その醜聞をスクープしたのは高級誌「ニューヨーカー」のオンライン。筆者はフリーランス記者。当初NBCに売り込んだがNBCはビビったようだ。
「ワインスタイン氏がヒラリー・クリントン元国務長官をはじめ民主党実力政治家へ多額の献金をしてきたことが民主党寄りの報道を続けるNBCのニュース判断を誤らせた」(共和党幹部)といった見方も出ている。
この報道でハリウッドのセクハラ疑惑は堰を切ったように次々と大物プロデューサーや俳優を襲った。
告発はハリウッドにとどまらず、政界に波及。12月12日に投開票があるアラバマ州の上院補選(ジェフ・セッションズ司法長官就任に伴う空席を埋めるため)の行方にも影響が出ている。
ところが芸能界、政財界でのセクハラ疑惑追及に血眼になっている米マスコミ界にもセクハラ疑惑が急浮上。「クリーン」を旨とする主要メディアは疑惑の記者たちを即刻解雇せざるを得ない事態に陥っている。
しかも疑惑の主たちは、怪しげなタブロイド紙の記者ではなく、今を時めくニューヨーク・タイムズのベテラン記者や3大ネットワークのCBSの看板キャスターだというのだから報道を信じてきた一般市民は<ブルータス、お前もか>となるわけだ。
今後さらに広がるものとみられ、半世紀にわたり放置されてきた男性支配のエスタブリッシュメント、つまりハリウッド、政財界、政界、マスコミ界に当たり前のように存在してきた「男尊女卑体質」に対して世論の厳しい目が向けられるのは必至の情勢だ。