――2011年には米国赤十字から、フィランソロピスト(慈善家)オブ・ザ・イヤーを受賞されました。アメリカでの慈善活動の背景や必然性などについてお話下さい。
吉田:アメリカは健康保険の保険料が非常に高く、病院に行けない人も多い。子供ががんにかかると、親が子供のために破産宣告してがん治療を受けたりすることもあるんだ。破産して貧乏になると、医療費が無料になり、フードスタンプというEBT(Electronic Benefit Transfer)カードも出て、福祉が面倒を見てくれるからね。その一方で、アメリカにはクリスチャン精神があって、人を助けることに誇りを持っている。
保険のない外国からの移民に病院が治療できるように運営するから、企業や篤志家から寄付を集めるボランティア活動が必要だし、ずっとやってきたんだ。
最近日本からやってきた事業家が高い時計を買って喜んでいたけれど、アメリカの事業家と心構えが違うと思った。
そんな使い方は悲しいお金で、幸せなお金の使い方じゃない。人をハッピーにする使い方をしないとダメなんだ。今ではヨシダグループとしてヨシダソースをはじめ、飲料水開発、レストラン経営、マンション・アパートやオフィスビルそしてリゾート開発事業を抱えているけど、過去に4回資金繰りで苦労した。ゴルフ場の開発に投資して失敗した時は、ピストルで頭を撃ち抜いて死のうと思ったことだってある。
お金は追いかけると逃げていくんだ。でも、危機になると、いつも誰かが助けてくれた。人が成功して大きくなっていくには、感謝して、返していかないと。要するにお金儲けより、人儲けなんだよ。
Ayako Jacobsson
広島市で育ち、東京都立大学、英ケンブリッジ大学、コロラド大学ボルダー校で学ぶ。卒業後は「ウォール・ストリート・ジャーナルを読む」などの番組制作ディレクターを担当後、読売新聞英字新聞記者として通信、コンピュータ、テレビ、映画、ホテル、旅行業界を取材。99年からシリコンバレーに拠点を置き、取材・執筆活動を行っている。
*本稿は、がん患者さん・ご家族、がん医療に関わる全ての方に対して、がんの臨床試験(治験)・臨床研究を含む有益ながん医療情報を一般の方々にもわかるような形で発信する情報サイト「オンコロ」の提供記事です。