(文:Ayako Jacobsson)
コストコで大人気、吉田家のFINE SAUCEことグルメのたれ。アメリカで1日約7万本生産される同ソースの製造元、ヨシダフードを設立したのが、オレゴン州在住の吉田潤喜氏(67歳)だ。
テンガロンハットで知られる吉田氏は7人兄弟の末っ子として京都で生まれた。米国に憧れて69年に渡米し、シアトルで空手教室を経営。ワシントン州警察逮捕術主席師範を任され吉田逮捕術を教える。のちオレゴン州警察学校に移籍。しかし不況で空手道場の生徒も3分の1に落ち込み、生活が困窮になる。
そんな中生徒から贈られるクリスマスプレゼントのお返しが出来ず、教え子に自家製秘伝のタレを配ったところ「買いたい」と評判が良かったため吉田ソースを即演販売。着物、ソンブレロ姿、果てはピンクのバレリーナのチュチュなどを着て、目立ちに目立ったため、地元テレビの料理番組にレギュラー出演するようになり、ヨシダソースは飛ぶように売れた。米中小企業局50周年記念のゴールデンアニバーサリーにインテル、フェデックス、HPと並んだ全米24社に殿堂入りするなど、吉田氏はアメリカン・ドリームを実現した。
そんな吉田氏が、がんのチャリティに本腰を入れ始めたのは、部下や家族を次々にがんで失したから。
片腕のマットこと、カリフォルニア州サクラメント出身の吉田グループのマヒュー・ガスリー前社長(55歳)を腎臓がんで、有能な秘書のカン・ヨンジャさん(47歳)を卵巣がんで、リンダ夫人の父親(66歳)を結腸がんで亡くした。