フェルマーの最終定理とは、

「 xn+yn = zn を満たす正の整数 x、y、z は、 n が2よりも大きい整数ならば存在しない」

というものです。

 数学者ピエール・ド・フェルマー(1607~1665)は、数学書の余白に落書きして、「私はこの定理のめっちゃびっくりするような証明を見つけたけど、この余白は狭いから書けないや」などと述べました。

 しかしフェルマーが証明したと称するこの定理は、他の誰にも証明できないまま300年以上経ち、これは世界で最も有名な未解決問題となりました。

 フェルマーの最終定理は、1995年、英国オックスフォード大のアンドリュー・ワイルズ教授(1953~)によって証明されました。その証明論文は100ページを超えます。

 この大変な最終定理は、ABC予想が証明されれば、それを使ってちょちょいのちょいで証明できます。フェルマーも余白に書き込めたかもしれません。

 他にも、ABC予想が証明されれば、その余波で解決される問題がいくつもあります。ABC予想はかくも強力で、数学界の期待のかかった問題だったのです。

望月新一教授の証明論文あらわる

 2012年、京都大学数理解析研究所の望月新一教授が、個人ホームページに「宇宙際タイヒミュラー理論」と題する4篇の論文をアップロードしました。合計で500ページ(後に補足を含めて600ページ)になる大論文です。

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Inter-universal%20Teichmuller%20Theory%20I.pdf

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Inter-universal%20Teichmuller%20Theory%20II.pdf

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Inter-universal%20Teichmuller%20Theory%20III.pdf

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Inter-universal%20Teichmuller%20Theory%20IV.pdf