MRのオーナーシップ

 開始から一貫して粛々と議事が進んでいた部屋の雰囲気は、マウンマウンテイン土木局長が「今から質問を受け付けます」と発言した途端に一変した。

 「ミャンマーで登録された企業でなければ応札できないという条件は、海外企業を排除するという意味なのか」

 「施工した箇所が壊れた場合は誰が修理するのか」

 「支払いはチャット払いか。日本円で受け取ることは可能か」

 次々に手を挙げては、英語やミャンマー語で質問をする参加企業たち。そんな彼らに対し、マウンマウンテイン土木局長は、

「橋梁」(左)と「建築施設」(右)の入札図書に記載すべき事項についてMR担当者と話し合う日本人専門家たち(=調査団提供)

 「海外企業は、基本的にミャンマーに支店を置き、ミャンマーに税金を納めていなければ入札に参加できない」

 「施工後、1年以内に補修の必要が生じた場合は、施工時に欠陥(瑕疵)があったものとみなし、施工者の責任とコストで対応してもらう」

 「今回の公示は、ミャンマー政府の資金で行う工事部分を対象としたものであるため、支払いは、ドルでも円でもなく、チャットで行う」

 と、1つずつ回答する。

 この日、土木局長が特に力を入れて説明を繰り返したのは、今回はJICAの調達基準にのっとって入札手続きを進めるという点だ。