中国人観光客が日本で購入するお土産といえば、「一に家電、二に化粧品」といっても過言ではないでしょう。日本の化粧品は家電製品に負けず劣らず中国国内で高い人気を博しています。これまでずっと赤字だった日本の化粧品貿易の収支が黒字転換するなど、中国の化粧品市場の近年の拡大は日本の化粧品業界にも大きな影響を与えています。
そこで今回は、成長著しく将来性も高い中国の化粧品市場の現状を解説するとともに、今後の発展に関するキーワードについて紹介したいと思います。
日本の倍以上の市場規模と成長速度
まず、マクロデータから見ていきましょう。下のグラフは近年の中国の化粧品市場規模と成長率をまとめたものです。
(出所:中商産業研究所)
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51748)
2011年に2桁成長を記録したあとは1桁成長が続き、伸び幅もやや鈍化してきています。一見すると「成長著しい」ようには見えないかもしれません。
しかし、2016年度における日本の化粧品市場規模が前年比2.9%増の2兆4715億円(矢野経済研究所発表データ)であるのに対し、中国の2016年度の市場規模は前年比6.5%増の3360.61憶元(約5.68兆円)です。市場規模は日本の倍以上あり、なおかつ日本の倍以上の成長速度を維持していることとなります。日本円に換算して比べたときは、筆者も数字を間違えたのではないかと一瞬目を疑ってしまったほどの成長ぶりです。市場規模はすでに日本を超え、米国に次ぐ世界第2位の大きさに達しています。