詐欺グループはまだ捕まっていないようだが、ひとまず一件落着。カナダ側の警察によれば、今年6月ごろから類似の詐欺事件が報告されていたとのことであり、今回の事件は氷山の一角である模様だ。
変貌する中国人留学生の姿
中国人留学生と言えば、かつては親族に借金をしてでも国外に出て、アルバイトで食いつなぎ苦労の末に学問を修めて――、というイメージが強かった。だが、近年は中国の経済発展と、留学への憧れが強い両親世代の思い入れゆえに、かなり豊かでユルい若者たちの姿が目立ちつつある。ゆえに、中国人留学生がらみの事件も一昔前とは毛色の違うものが増えている。
例えば日本に関係する話だと、昨年11月に都内のアパートで中国人女子大学院生・江歌さんが同じ中国人留学生の男に刺殺される事件が起きた。江さんの友人と犯人男性の間に恋愛関係のもつれによるトラブルがあり、ストーカー化した犯人によって人違いの形で江さんが殺されてしまったのだ。犯人はすでに日本国内で逮捕・起訴されたが、中国国内で同様の罪は死刑に相当することから、中国のネット上では犯人の帰国後に厳罰を加えることを求める声が高まっている。
ほかにも、近ごろ話題になったのは2016年5月にドイツ留学中の中国人女子学生が現地の猟奇的な嗜好を持つドイツ人カップルに監禁・殺害された事件、同年に同じくドイツで中国人女子学生がイラク難民の男性に暴行を受けた事件、今年6月にアメリカ・イリノイ大学に留学中の中国人女子大学院生が現地の白人男性に殺害された事件などだ。むしろ留学生側が被害者になっている例のほうが多いのである。
留学生関連事件の変化もまた、現代の中国の経済力や国際的な影響力の増大を示すものであると言えるだろう。時代が変わったことを感じさせる話だ。