「捜査のため、あなたの名義のすべての個人財産は3年2ヶ月の間、凍結されます」

「あの・・・。それは生活に支障も出ますし、困るんですけど」

「あなた自身も協力してくださるなら、こうした影響を限定的にとどめることができます。公安局のシークレットの電話番号をお伝えしますから、今後はこちらの電話の指示に従ってください。必ず守ってくださいね」

 やがてかかってきた別の電話の男は、章さんが国際捜査により中国に強制送還されて尋問されるおそれがあるため、しばらく身を隠すように指示。滞在費の全費用と新しい携帯・電話番号をすべて提供するので、現在の住所を離れて、実家を含む第三者と一切の連絡を取らないように申し伝えた――。

ハーメルンの笛吹きか? 坊っちゃん嬢ちゃん連続失踪

 11月上旬、カナダ国内では多くの中国人留学生が上記の章さんと同様の電話を受けた。電話の内容を信じた華人系の留学生は、章さんのほか16歳の男子学生・許くん、17歳の女子学生・劉さんなど合計5人におよんだ。彼らはいずれも実家や友人・学校と連絡が取れなくなり、完全に失踪してしまったのである。

現地のテレビ報道を伝える、在加華人メディア『CFC NEWS』。数日間のうちに連続して「失踪」した