筆者は今年3月、本コラムで、近年日本で大きな問題となっているいわゆる再配達問題への対策として、宛先を職場に指定して平日昼間に荷物を受け取る「職場受け取り」の方法を紹介しました(「『再配達地獄』を解決するシンプルで効果的な方法 中国式『職場受け取り』のススメ」)。筆者が住んでいる中国では、職場受け取りが一般的な方法です。
この記事には多くの人が賛同してくれました。ところが一方で、「電車通勤では持ち帰れない」「ダンボールを会社に処理させるのか?」「大企業じゃ無理」など、日本での導入について否定的な意見も散見されました。
そんな中、電子商取引(EC)業界関連企業を中心に、職場受け取りを推進する「職場受け取り運動」という活動が展開されていることを知りました。
そこで今回は、この「職場受け取り運動」について取材するとともに、再配達問題の当事者たちに再配達の現状や職場受け取りへの見解を聞いてみました。
EC業界の一員としての社会的責任から
「職場受け取り運動」は、リスティング広告を手掛けるネット広告代理企業、カルテットコミュニケーションズによって始められ、同社の主導によって展開されています。同社が「職場受け取り運動」の推進サイトを公開したのは今年3月でした。同時期に配信された筆者の記事を、たまたま同社の関係者が読んでくれていたことから、今回の取材へとつながりました。
そもそも、なぜ物流業界とは直接関わりのない企業が「職場受け取り運動」を始めたのでしょうか。同社はその理由を「EC業界の一員として、再配達問題に取り組む必要があると考えたため」と説明します。