アンティファは米国で「反体制の過激な左翼」とされている。ところがここに来て 左派からも批判の声があがり始めている。8月27日のバークレー事件の後、民主党リベラル派のナンシー・ペロシ下院院内総務は、「アンティファと称する集団の暴力は許すことはできない。民主主義ではいかなるイデオロギーへの反対でも暴力的であってはならない」と非難した。

 つまりアンティファは、いまや米国政界の左右両派から糾弾される存在となったわけだ。

本部は存在せず、支部も把握できず

 ただし、アンティファの組織の実態は今なお謎に包まれている。

 まず本部が存在しない。全米各地で200もの拠点があるとされるが、支部として明確に認知できるのはオレゴン州ポートランド市内の一事務所だけだという。しかも組織の代表も名を出していない。組織の加盟者の人数も分からない。

 分かっているのは、アンティファのイデオロギー面での代弁者はマーク・ブレイ氏という政治活動家だということだ。ブレイ氏は『アンティ・ファシスト・ハンドブック』という著書を出して、アンティファの政治理念などを説明している。

 トランプ政権下の米国では、社会の分断を連想させる過激な政治勢力がますます動きを活発にさせていきそうである。