米で白人主義者らと反対派が衝突、車突入などで3人死亡 35人負傷

米バージニア州シャーロッツビルで、車が人混みに突っ込んだ現場で、応急手当を受ける人たち(2017年8月12日撮影)。(c)AFP/PAUL J. RICHARDS〔AFPBB News

「シャーロッツビルの騒乱」で脚光を浴びた極右集団

 ドナルド・トランプ氏が米大統領になって大きく変わったことがいくつかある。

 その1つは、これまで社会の片隅で息をひそめていた白人極右集団が白昼堂々と集会やデモを始めたことだ。なぜか――。カリフォルニア大学バークレイ校の白人社会学者はこう一刀両断にする。

 「黒人大統領オバマの8年間の政治下で不公平感・被害妄想を増幅させた白人極右のバックラッシュ(反動)だ。彼らはトランプに自分たちと同じ『体臭』を嗅ぎ取った。それで安心して隠れていた穴からぞろぞろ出てきたのだ」

 米メディアが「White Supremacist」(白人至上主義者)と呼ぶ、「肌の白いことこそが唯一至高の存在だ」と主張する白人優越主義集団。

 一般的には低学歴、低所得のプア・ホワイトが多いとされている。十代から高齢者まで年齢制限はない。ネット上で連帯感を培っている。かなりの会員を擁するものから個々人のものまでざっと500団体。ツイッターのフォロワーは約5万人。

 主だったグループとしては、ネオ・ナチス、人種差別秘密結社のキュークラックスクラン(KKK)、そして今メディアから脚光を浴びている「オルト・ライト」がある。

 このグループの旗艦的存在とされる超保守メディア「ブライトバート・ニュース」の会長兼編集主幹だったスティーブ・バノン氏は8月18日、事実上解任されるまでトランプ大統領の首席戦略官兼上級顧問を務めていた。

 今回の「シャーロッツビルの騒乱」を巡るホワイトハウスの対応のまずさの責任を取ったとの見方も出ている。

 大統領の側近中の側近が「オルト・ライト」となれば、白人至上主義者たちが「トランプ大統領に自分たちと同じ『体臭』を感じた」としても不自然ではない。

 「白人至上主義者」に理路整然とした政策目標などない。何かトラブルがないかをネット上で探し回わって、面白いと思えば動員をかける。

 その意味で、バージニア州シャーロッツビルのリー将軍の銅像撤去問題は「白人至上主義者」たちにとっては格好の「獲物」だったわけだ。