アンティファは今年1月にトランプ氏が大統領に就任した際も、就任に反対する全米各地の抗議デモで中核になった。今年2月、カリフォルニア州バークレー市で、右派の活動家たちが言論の自由を求める集会を開いたところ、やはりアンティファと称する集団から投石や殴打などの暴力を受けた。
バークレーでは、この8月27日にも保守系の集会に対しアンティファを自称する十数人の集団が棍棒などの凶器で攻撃をかけた。さらに9月10日には、オレゴン州ポートランド市で保守派が礼拝集会を開いたところ、アンティファだと宣言する100人ほどの男女の集団に襲われた。この集団は警備にあたっていた警察官も攻撃し、警察側に十数人の負傷が出た。
こうした騒動の結果、アンティファの名が全米に広がり、危険な極左暴力勢力というイメージを広げることとなった。
トランプ政権の誕生が刺激に
では、アンティファという組織は一体なんなのか。
その答えが見つからない中で、アンティファに対して、同じ左派とされる民主党リベラル系の政治家たちも警戒心を表明するようになった。
アンティファという名称自体は、第2次世界大戦前のドイツで、ナチスの台頭に反対した実在の組織の名である。戦後、アンティファは保守系の政治家やイデオロギーに激しく反対し、共産主義に同調する極左組織として、イギリスや米国にも根を広げていった。
そして、保守の典型とも言えるトランプ政権の誕生に刺激されて、米国の各地で新たな動きを活発にみせるようになった。トランプ大統領はシャーロッツビルでの事件の直後、「ヘルメットに黒いマスク、棍棒などその他の凶器を持って出てくるのがアンティファだ」と述べた。