イチゴは、マレーシアなど東南アジアでは、人気の果物の1つになりつつある。
イチゴ日本一を自負する栃木県は、全国で初めて、農業試験場にイチゴの育種を研究する「いちご研究所」を設置し、これまで「とちおとめ」や「女峰」などの国内有数のイチゴのメジャー種を世に送り出してきた。
その栃木県が、佐賀県の「さがほのか」や福岡県の「あまおう」といった“九州勢”の高級品種に対抗する品種として、同研究所で約20年間、構想を温め、開発したのが「スカイベリー」だ。
その栃木県にある宇都宮大学では、アジアや欧州などの海外の富裕層向けの市場を見据え、輸送時にイチゴが傷つかず、完熟状態で出荷しても約2週間ほど、商品の損傷を防ぐことができる自動収穫の次世代ロボット開発の実用化に着手した。
果実に全く触れず収穫するロボット
同ロボットは、果肉に、収穫から店頭に並ぶまで全く触れずに出荷できるロボット。人工知能で制御されたロボットがイチゴの完熟度合いを判断し、イチゴの実がなったつる枝をパチッと、つまんで収穫する。果肉と接触しないように施された容器に1つずつ収納することが可能だ。
この方法で出荷できれば、海外への販売をさらに拡大できると期待が高まっている。
スカイベリーだけでなく、一般的に日本のイチゴは、海外のイチゴに比べ、柔らかく、痛みやすく、日持ちがしない。
しかし、日持ちが可能なように、輸出できれば、輸出拡大の突破口になる大きな可能性を秘めている。そのチャレンジを重ねてきたのは、宇都宮大学の尾崎功一教授(ロボット工学)だ。
日本のイチゴは何かに触れると、その部分から傷み始める。尾崎教授は県の産官学連携事業として、NECなどと共同開発で、痛みやすいヘタについている枝ではなく、茎を掴み、イチゴを収穫する第1世代の自動収穫ロボットを開発した。
さらに、果実に接触しないようにパッケージする包装容器「フレシェル」も開発。「フレシェル」は、ドーム状になった蓋で、イチゴと台座を包む。