(文:コーチ・エィ 粟津恭一郎)
経営者の方から「もっと人材の多様性(ダイバーシティ)を高めたい」というお話をよくお聞きします。
その背景には「異なる知識や経験をもつ人材を交流させることで、過去の経験にとらわれない新しいアイディアを次々と生み出し、業績をさらに向上させたい」という願いがあります。
イリノイ大学のセドリック・ヘリングが506社を対象にした研究では、人種の多様性が高い企業ほど売上も利益も高いことが分かりました。(※1)
また、米国の教育機関コーポレート・エグゼクティブ・ボードによる調査では、経営幹部における外部人材の割合が高い企業ほど、売上の成長率が高いことが示されています。(※2)
こういった情報を目にすると、歴史の長い日本企業の中にも、外国人を執行役員として迎え入れたり、異業種の経験をもつ社員を増やしたりと、人材の多様性向上に熱心に取り組んでいる企業が多い理由が分かります。
その一方で、「途中入社の管理職がすぐに辞めてしまう」という声や、「キャリアや経験が異なる人が多いほど、知識の共有など協力的な行動が起こりにくい」という調査結果もあります。(※3)
では、多様性の高い組織はどのようにしてつくるのでしょうか。
「多様性」を高めるとは?
エグゼクティブ・コーチングでは「視点を変える」という言葉をよく使います。