戦前から戦後にかけてチャーハンの作り方はどう変わっていったのだろう。

 月刊誌『栄養と料理』(女子栄養大学出版部刊)の創刊は1935(昭和10)年。学園の教育内容をまとめた講義録として出発した。
 創刊2号目から付録についたのが1枚の小さなカード「栄養と料理カード」だ。健康に留意したおいしい料理がだれでも作れるように、材料の分量や料理の手順、火加減、加熱時間、コツなど納得のいくまで試作を重ね、1枚のカードの表裏に表現。約10×13cmの使いやすい大きさ、集めて整理しやすい形にして発表した。
 約30年にわたり『料理と栄養』に携わってきた元編集長が、「栄養と料理カード」で紹介された料理を題材に、時代の変遷をたどっていく。

現代のチャーハン作りとの違いはどこに・・・

 わが家では、冷やごはんの活用法として「チャーハン(炒飯)」を作る。夏はレタスと油揚げと梅干しのチャーハンなど。蒸し暑い日でも食べやすく、家族も喜ぶ。冷やごはんはあらかじめ電子レンジで温めておくのが私流。炒めた具に温めたご飯を加えると、具と混ざりやすく、パラパラに炒めることができる。そして油の使用量が少なくて済む。

 味つけはこしょうのみ。ごま油で刻んだねぎを炒め、細切りにした油揚げとレタス、温めたご飯を順に加えて炒め合わせ、油がなじんだら、刻んだ梅干しを加え混ぜて出来上がり。1人分で油小さじ1(4g)、ごはん150g。2人分でも深めのフッ素樹脂加工のフライパンで充分だ。

 以上は、ヘルシー志向の現代流。では、昭和のレシピをひもとくと・・・。

ごはんの量は現代なら「大盛り」―― 昭和11年

『栄養と料理』の「栄養と料理カード」の中に、チャーハンは3枚ある。材料の表記は4~5人分、ごはんは冷やごはん、あるいは固めに炊いたごはん。炒める道具は中華なべだ。