<管理職の働き方の柔軟性>

 次に、柔軟な働き方の活用状況を確認しよう。

 2016年12月の仕事について、「勤務時間を選ぶことができた」に「あてはまる」または「どちらかといえばあてはまる」と回答した人は、役職なしで11%、係長・主任クラスで12%、課長クラスで13%、部長クラスで18%であった。

 また、2016年12月の仕事について「勤務場所を選ぶことができた」に「あてはまる」と回答した人は役職なしで8%、係長・主任クラスで7%、課長クラスで9%、部長クラスで11%であった。役職の有無にかかわらず、正規雇用者のうち勤務時間や働く場所を選択できる柔軟な働き方をする人は少数派と言える。

図表3:役職別・柔軟な働き方を選ぶことができた人の割合(正規雇用者、%)
(注)1.対象は正規雇用者。役職者は各役職と同待遇の専門職を除く。2.「勤務時間を選ぶことができた」「働く場所を選ぶことができた」とは、質問に「あてはまる」または「どちらかといえばあてはまる」と回答した人の割合。
(出所)リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査2017
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管理職の働き方改革を急げ

 以上を総合すると、管理職は、仕事と家庭の両立が困難なほどの時間を働く人の割合が、役職なしの人に対して高く、同時に管理職のうち柔軟な働き方をする人は少数である。

 中でも大企業の課長職では仕事と家庭の両立が困難なほどの時間を働く人の割合が高い傾向にあり、とりわけ「仕事と家庭の両立が困難」な状況になっている懸念がある。

 このようなデータを見る限り、「管理職に昇進すると仕事と家庭の両立が困難になる」という懸念には一理がある。企業の女性管理職の育成策が本当に効果を発揮するためには、管理職の働き方を魅力的なものとし、女性が躊躇なく昇進に必要な経験や知識を蓄積できる環境を作る必要があるだろう。