これによると、昇進を希望しない理由として約半数(46%)が「仕事と家庭の両立が困難になる」ことを挙げており、「責任が重くなる」(28%)、「周りに同性の管理職がいない」(26%)、「メリットがない、または少ない」(26%)、「自分には能力がない」(14%)といった他の回答を引き離している。

 このように時間外労働、夜間・休日労働が前提の管理職の働き方は、女性から見た管理職の仕事の魅力を低下させ、女性に昇進をためらわせている。

図表1:総合職女性が課長相当職以上への昇進を希望しない理由
(注)常用労働者300人以上の企業で働く一般労働者かつ総合職の女性。13の回答項目のうち複数回答での回答割合の高い順に5つの項目と回答割合を提示。
(資料)労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」(2013年)
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管理職は「仕事と家庭」を両立できるのか?

 それでは管理職の働き方は、どの程度「仕事と家庭の両立が困難」なのだろうか。仕事と家庭の両立しやすさを左右する要因を考えると、(1)労働時間の長さ、(2)柔軟な働き方の活用可否、の2つであると考えられる。

 労働時間が長ければ仕事と家庭との両立は難しくなるが、働く時間帯を家族の都合に合わせて調整できたり、在宅勤務などで通勤時間を節約できたりすれば、労働時間の長さの一部はカバーできる。管理職の働き方が本当に「両立が困難」なのかどうかは、この2点を検証することで見えてくると考えられる。

 なお、筆者が所属するリクルートワークス研究所では、全国の人の働き方を追跡調査する「全国就業実態パネル調査」を2016年度より実施している。そこで以下では、同調査の2017年度のデータから正規雇用者の働き方に着目し、(1)管理職で仕事と家庭の両立が困難なほど長時間働く人はどの程度いるのか、(2)管理職は柔軟な働き方をどの程度活用できているのかを検証しよう。