サムスン電子の業績は「史上最高」を更新し続けている。だが、最も喜ぶはずの事実上のオーナーである李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)副会長は、拘置所で「大統領に対する賄賂罪」の裁判を受けている。
結審直前に、サプライズの急展開が相次ぎ、サムスンの苦悩は深まるばかりだ。
「製造業世界一の座に」
年間利益5兆円? 製造業、世界最大の利益
2017年7月7日、サムスン電子が、2017年4月~6月の決算(速報値)を発表すると、韓国メディアは大々的に報じた。
この日発表になった4~6月決算の連結営業利益は14兆ウォン(1円=10ウォン)で前年同期比72%増だった。四半期の利益額が円換算で1兆4000億円というのは驚異的な水準だ。
韓国メディアによると、アップルの連結営業利益は105億ドル。ウォン換算で12兆3000億ウォンだが、これを軽々と上回った。「世界の製造業で最大の利益額」と報じた。
年間の利益額は、50兆ウォン、5兆円に達する「お化け企業」になるとの見通しも出ている。
サムスン電子は、決算発表の3日前、ソウル郊外に建設中だった大型半導体工場で出荷式を開き、この席で、2021年までに同工場と、既存の工場に合わせて21兆ウォン以上を追加投資すると発表した。
好調な業績を背景に攻撃的な投資に拍車をかけ、競合メーカーの追撃を蹴散らす戦略だ。
それでも、重苦しい空気
絶好調の業績だが、サムスン電子やグループ企業の首脳の間には、浮かれた様子はまったくない。それどころか、「重苦しい空気が漂っている」(韓国紙デスク)という。
というのも、グループの事実上の総帥である李在鎔サムスン電子副会長が依然として拘置所にいるからだ。朴槿恵前大統領に関連した一連のスキャンダルで、李在鎔副会長は逮捕・起訴されて2月末からソウル拘置所での生活が続いている。
容疑は、「現職大統領(当時)に対する贈賄」だ。特別検察の見方はこうだ。
李在鎔副会長とサムスングループは、副会長によるグループ経営権継承を支援するよう朴槿恵前大統領に請託し、この見返りを提供したということだ。
いったいどういうことか。