ミントはなぜ「冷たい」のか? 感覚の謎に迫る

人の温度センサー、発見から作用解明までの20年

2017.04.28(Fri)漆原 次郎

トウガラシの「熱さ」は43℃以上で感じる熱さ

 当然、口の中や舌にも温度受容体は備わっている。氷を口に含めば「冷たい」と感じるし、熱いお茶には「熱い」と感じる。

 だが、体のこうした温度センサーは、単に温度が低いものや高いものにそれぞれ反応するだけではないことが、ここ20年の研究で分かってきた。

「地獄ラーメン」や「暴君ハバネロ」などを食べたときは「辛い」と感じて汗が出てくる。これは、トウガラシやハバネロの果皮に含まれる「カプサイシン」などの辛さ成分が、温度センサーのファミリーの1つ「TRPV1チャネル」を活性化させているからだ。

 TRPV1は、温度の刺激としては43℃以上で活性化し、「熱い」と感じさせる。この温度センサーがカプサイシンでも活性化するということはは、熱さの刺激と辛さの刺激の両方を受け取っていることになる。これらの刺激は、センサーを通るときナトリウムイオンなどの作用でいずれも電気信号となる。そして、その後は同じ経路で脳まで伝わる。つまり、熱を受けたときもカプサイシンを受けたときも、同じ仕組みで刺激が脳に伝わる。

 トウガラシを食べたときに「熱い」と感じるのも、決して錯覚ではないわけだ。

 ちなみに、少量でもカプサイシンの刺激を受けると、TRPV1はより低い温度から熱さを感じるようになる。多くの人が、辛くてかつ熱いスープが余計に刺激的に感じられるのはこの作用によるものだ。

 TRPV1は、1997年に生理学研究所の富永真琴氏により単離され、カプサイシン、熱、それに痛みとも関わるプロトン(水素イオン)をも刺激として受けとめるセンサーであることが分かった。カプサイシン受容器とも呼ばれる。

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