清涼感を得られるガムや菓子。低い温度で「冷たい」と感じる仕組みとも密接な関係が。

 これから暑くなってくると、食生活でも「冷」を求めるようになる。ビールやアイスなどの需要は高まっていくが、もう1つ、常温のままでも「冷たく感じる」ことのできるミント系の食べものもある。じつは近年、そうした「冷たい」は、疑似でなく本当に体が感じている感覚であることが分かってきた。

人の体は温度ごとに温度センサーを備えている

 人が氷を手で触れて「冷たい」と感じたり、お湯に手を入れて「熱い」と感じたりするのは、冷たさや熱さなどの刺激を受ける「温度センサー」が皮膚にあるからだ。

 このセンサーは「温度受容器」と呼ばれる。ただ1種類の温度受容器が冷たさから熱さまで一手に受けるのではなく、“冷たさ担当”や“熱さ担当”のセンサーがファミリー(由来が同じタンパク質群)として数種類そろっているのだ。

 たとえば、冷たい水風呂のような、17℃以下の温度には「TRPA1チャネル」と呼ばれる温度センサーが反応する。一方、銭湯の風呂よりずっと熱い52℃以上の温度には「TRPV2チャネル」という温度センサーが反応する。温度による刺激は、各センサーから脳に伝わって「冷たい」や「熱い」と感じるようになる。

 17℃以下から52℃以上まで、どの温度範囲にも対応する温度センサーがそれぞれ反応するため、私たちは「徐々に冷たくなってきた」などの温度変化を感じられるのだ。