日本能率協会コンサルティング(JMAC)では女性活躍推進の重点課題は4つあると考えている。1点目は「方針づくり」、2点目は「女性社員の能力開発」、3点目は「上司の女性社員の成長促進力強化」、4点目は「働き方改革」である(上の図)。

 働き方改革も女性活躍も日本再興戦略の重要課題であるが、企業や現場では「取り組まなければいけないことが次々に出てきて、対応し切れない」という声を耳にする。しかし女性の活躍の推進と働き方改革は、別物ではなく、相互に必要不可欠な課題である

 女性社員自身が意欲を高めて成長を図り、上司・周囲が協力的に育成に関わっても、長時間労働が前提の職場では、主戦力として活躍していた女性社員が育児や介護などのライフイベントを迎えた際、両立に悩んで職場を離れたり、あるいは職場内ニートになって周りの負担が増えたという事態が発生してしまうからだ。

無記名アンケートだと出てくる本音

 JMACがさまざまな企業・団体で、働き方に関わるアンケート、女性活躍に関わるアンケートを実施すると、その結果の中で男女の差が顕著に表れるのが「自由回答」である。自由回答の記入率が、男性は4割程度なのに対し、女性は8割を上回ることも珍しくない。

 女性の自由回答の内容は個別性が高く、不満(~ができていない、してくれない)と要望(~してほしい)が多い点が特徴的である。これは、「わがままだ。愚痴ばかり言う」と思われるのを恐れてふだん職場では発言せずにいることが、無記名の安全な環境で表出してきたものと考えられる。

 このような、従来の画一的な組織の中で、女性社員が潜在させていた意見や声を「改革の原動力」とポジティブに捉え直してみると、展望はとても明るくなってくる。この見方の転換が、女性活躍と働き方改革を同時に実現するポイントである。

 つまり、改革への思いと必要性が高く自分事で取り組める女性社員に、働き改革推進の中核(リーダー、推進役)を任せることで、活動全体の推進力が高くなる。