四天王と外様大名3人でスタートした「トランプ幕府」だったが・・・
徳川幕府に例えれば、第45代米大統領「ドナルド・トランプ将軍」の政権は、四天王と外様大名トリオでスタートした。
四天王とは、スティーブ・バノン大統領上級顧問兼首席戦略官(63)、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問(50)、スティーブ・フリン大統領国家安全保障担当補佐官(59)、娘婿のジャレド・クシュナー大統領上級顧問(36)の4人。大統領選以前からトランプの忠臣として仕えてきた。
外様大名とは、レックス・ティラーソン国務長官(64)、ジェームズ・マティス国防長官(66)、スティーブン・ムニューチン財務長官(54)の主要3閣僚。トランプ氏が大統領に選ばれたのちに「首実検」して選んだ超大物たちだ。
3人とも関ケ原の戦いで「トランプ徳川方」にはせ参じたわけではない。
閣僚で唯一の譜代大名と言えば、ジェフ・セッションズ司法長官(70)。選挙当初からトランプ大統領支持を打ち出していた。
マイク・ペンス副大統領(57)は共和党全国党大会で正式に「ラニングメート(副大統領候補)」に選ばれている。中間選挙では他の候補を支持していた。言ってみれば、譜代大名と外様大名の中間といったところだ。
ところが政権が動き出してひと月も経たないうちに四天王の一角が崩れた。
フリン補佐官がトランプ氏が大統領に正式に就任する数か月の前からセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と連絡を取り、経済制裁解除について協議していたとの疑惑が急浮上。しかもこの件についてペンス副大統領に嘘の報告をしていたことも明らかになった。結局フリン補佐官は2月13日に辞任した。事実上の解任だった。
国家安全保障担当補佐官は、外交国防の要となる国家安全保障会議(NSC)の事務局長を兼務している。
NSC事務局は政策面と地域面とで部門に分かれ、総勢200人程度が専従スタッフを有している。関係各省庁から吸い上げた情報を精査分析し、安全保障に関する重要政策を決定する最高決定機関だ。
腹心バノンをNSCに入れた理由
トランプ大統領は、そのNSCにバノン首席戦略官兼上級顧問を入れただけでなく、正副大統領と国務、国防両長官だけが出席して行われる幹部会議のメンバーにもバノン上級顧問を入れるという前代未聞の決定をしていた。2月初旬のことだった。
バノン上級顧問は、極右メディア「ブライトバート・ニュース」からホワイトハウス入りした「トランプの分身」とも言われる人物。トランプ政治哲学がNSCで100%生かされるように目を光らせる役割を託されたのだ。