米国のトランプ政権が、南シナ海全域の軍事的優勢を手にしようとする中国を牽制するため、2月中旬から空母部隊を南シナ海に送り込みパトロールを実施している。
(参考・関連記事)「トランプでも元に戻せない中国の南シナ海支配の現状」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49241
3月4日には、パトロール中の米海軍空母「カール・ビンソン」をフィリピン国防長官、財務長官、司法長官および在マニラ米大使がアメリカ海軍航空機で訪問し、艦上戦闘機の発着の模様や艦内の視察を行った。
フィリピンのドゥテルテ大統領はオバマ政権時代に米比同盟を弱体化させるかのような発言を繰り返したため、フィリピン軍部などは危機感を持っていた。だが、トランプ政権に代わったことで、ドゥテルテ大統領の“反米的”な言動は和らいだ。フィリピン政府の高官たちはその機に乗じて米海軍の原子力空母を訪問し、「米比同盟健在なり」をアピールしたというわけだ。もちろん南シナ海洋上の原子力空母が、アメリカによる「中国への軍事的圧力」の象徴であることを踏まえてのパフォーマンスである。
軍事的デモンストレーションをやり返した中国
一方の中国は同じ日に、2隻のミサイル駆逐艦と補給艦に、台湾海峡を東シナ海から南シナ海へと通航させた。