知的好奇心をくすぐる読み物サイト「biblion」から選りすぐりの記事をお届けします。

【第9回】

 日本の高度成長を支えた、「正解」をいかに早く覚え、再現するかという従来の教育は、「答えのない時代」を迎えた今、うまくいかなくなった。日本の国際競争力を高める人材を育成する上で、障害となっているものは何か。21世紀の教育が目指すべき方向は何か。

 本連載では、特色ある教育制度を取り入れている先進国の動向から、日本の教育改革の方向性を導き出す。

(前回の記事「アジアで根強い詰め込み型『教える教育』」はこちら

幼稚園から起業家を養成するフィンランド

 ここまでアジアの「教える」教育について述べてきましたが、対する「考える」教育とはどのようなものか。北欧の例を見ていきます。

 フィンランドでは、1990年代の経済危機の際、人口550万人に満たない小さな国に閉じ込められていたら自分たちの将来はない、世界で活躍できる人材を育てようということで、この「考える」教育に舵を切りました(図-24)。


拡大画像表示

 優秀な企業を増やしていくために、幼稚園から「起業家養成コース」を設けています。具体的に何をするのかというと、幼稚園児を連れて青果店に行きます。そして、店のおじさんがどうやってお金を稼いでいるのかを考えさせるのです。