トランプ新大統領が誕生した歴史的な日から1週間が経った。
筆者は昨年末より研究会などで、一貫してトランプ氏の勝利をデータに基づいて主張してきた。本コラムでも、以下のようにその根拠を述べてきた。
・本選に向けてますます「オバマ化」していくトランプ(2016.5.18)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46846
・トランプはなんとイスラム教徒にも大人気だった(2016.6.1)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46968
・テロリスト扱い?軍人はこんなにヒラリーが嫌い(2016.10.5)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48030
日本の多くの論者は米マスコミや統計学者のネイト・シルバー等が導き出した「結論」や業界の噂話を真に受けて、真の情勢を読み誤ってしまったようである。しかし、世論調査の生データを注意深く見るなり、接戦州における「投票に行く有権者」の動向を見れば、トランプ氏の勝利は明らかであった。
クリントン氏はヒスパニックや若者の支持を得ていたが、彼らは投票に行かない。一方、トランプ勝利を早くから予想していた早稲田大学招聘研究員の渡瀬裕哉氏が指摘したように、トランプ氏が共和党候補となった予備選挙では、過去の予備選挙よりもはるかに多くの投票者が参加しており、新しい支持層の拡大とムーブメントを感じさせた。接戦州でのトランプ氏の勝利は当然の結果であった。
勝敗を決定づけた製造業労働者の票
筆者がトランプ氏の優勢を確信したのは、上記のデータもさることながら、米国を中心とするイノベーションがトランプ人気の背景にあると気がついたときである。