韓国政府は出生率向上のための施策に取り組んでいるが成果は疑わしい(写真はイメージ)

(ソウルより)

 韓国は今、人口統計学上の大きな課題に直面している。韓国の合計特殊出生率(女性1人ごとの子供の数)は1.24と、世界で最も低いレベルだ。移民なしに人口を維持していくのに必要な率は2.1であるが、それと比べてもかなり低いことが分かる。その結果、韓国の人口は急速に高齢化している。そして政府はこの現状に取り組もうとしているものの、いまだに正解を持ち合わせていないようだ。

 出生率が低くなっている先進国はよくある。以前、韓国が経済成長を遂げる前は、子供を多く持つことが高齢者世代の保険になると思われていた。出生率も、今と比較してもかなり高かった。世界銀行のレポートを見ても、1960年までは6を超えていたことが分かる。しかし、韓国経済が成長して、子供を育てる費用が上がり、女性の就労率も上がっていく中で、出生率は著しく減少し、1980年代には2を切るようになった。

 当初、出生率の低下は経済成長にとって恩恵でもあった。世帯の貯蓄は増え、子供の教育により多くを投資することになった。1980年には6%に過ぎなかった女性の大学入学率は、2015年には81%まで上がった。

 しかし最近では、主要な労働年齢人口の減少によって経済成長が損なわれ、国民年金制度に対してやがて非常に大きい圧力をかける脅威になっている。

 韓国政府は、出生率を上げることを目的とした一連の政策でこれらの課題に取り組もうとしてきた。最近の政策には、父親の育児休暇制度や、3人目の子供に対する優先的な保育施設への入園許可、不妊症の治療に対する補助金などが含まれている。