財務省庁舎(出所:Wikipedia)

 なかなかデフレから日本経済が脱却できない状況で、世間では、アベノミクスの成否を問う声が聞かれる。しかし、いままでアベノミクスは経済論理通り順調に運航してきており、安倍政権の前と現状を比べて前に戻りたい人がどれだけいるのだろうか。

 今、日本経済が胸突き八丁に見えるのは、つまり、アベノミクスに障害となっているのは、もっぱら為替市場における継続的な円高と、それに影響された日本の株式市場の低迷であるからである。

 アベノミクスが開始されて以来、雇用、企業収益に対する貢献は著しい。失業率はほとんど3%近くに減少し、150万人の新雇用が創出された。企業収益は歴史的に見てもまれな盛況にあり、国と地方の歳入も21兆円増加した。

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 しかし、私が恐れているのは、今のように円高の投機が続いているところでは、大型と言われる第2次補正予算案の効果も限定される心配があるということである。過去12カ月の間に円は他通貨に対して24%も高くなっており、日本経済に対して大きな向かい風となっている。

 つまり円高が、日本経済のアキレス腱となっている。日本政府は9月に強力な財政刺激を計画しており、これが(1回きりではあるが)ヘリコプターマネーに似た政策と解釈される向きもある。

 しかし、継続的な円高が続く中では、財政拡張政策も掛け声だおれとなる心配も皆無ではない。私が恐れているのは、今のように円高の投機が続いているところでは、大型と言われる第2次補正予算案の効果も限定されてしまう恐れがあることだ。