中国・上海の高層ビル群

(ニューヨークより)

 最近、中国は、財産権の保護を強化するという新しいガイドラインを採用した。このガイドラインは、今後中国の長期的な経済成長を確保するために、重要な手段となるだろう。しかし、やるべきことは他にもある。

 このガイドラインは、3つの主要な目的を遂行しようとするものだ。

 第1に、ガイドラインによって、政府が起業家や一般市民から私有財産を取り上げる際の裁量権に制限が課される。

 これまでは、国営部門が「社会主義市場経済」の「土台」であると法律によって定義されていた。そして民間部門は国営部門を「補完するもの」に過ぎないとされていた。しかし新しいガイドラインでは、国営企業と民間企業に「同等の地位」があること、企業の財産権にも「同等の保護」があることが強調された。これからは、私有財産は国有財産に劣るものではなくなるのだ。少なくとも表向きには。

 中国は近時、資本逃避の新しい波に直面している。これは、習近平主席の「反汚職キャンペーン」が、(今のところは腐敗した官吏に向けられているが)そのうち自分たちや自分たちの財産にも波及するだろうと懸念した起業家たちによって一部動かされている。

 中国の事業を規制する法令は極めて複雑で、ときには矛盾もはらんでいる。そのことに鑑みると、結局、中国の実業家たちに法令に完全に違反しないようにしろというのは困難である。新しいガイドラインは、民間企業の初期段階の不正・違法な活動や脱税といった「原罪」の許容を求める「恩赦」によって、この点に取り組もうとしている。