現在、日本には大学が777校ある(文部科学省「平成28年度学校基本調査」)。この数を多い(多すぎる)と見るか、けっして多くはないと見るかは、論者によって見解が異なる。
この対立を、単なるすれ違いに終わらせないために、現在の姿のままで大学の数を維持するのではなく、大学の「機能別分化」を進めていくべきだという見解も存在している。
つまり、今のままであれば、大学は多すぎるのかもしれないが、求められる役割を機能的に分担した大学制度であれば、今後とも社会のニーズを満たす存在になるのではないかというわけである。後で述べるように、文部科学省の大学教育政策は、実はこの立場に依拠している。
しかし、実際問題として、日本の大学の「機能別分化」は、なかなか進展していない。政策として、こうした提起がなされてからすでに10年以上が経つのだが、その結果、日本の大学制度が質的に変化しつつあるようには、贔屓目に見てもみえない。
それは、なぜなのか。「機能別分化」は必要なことのように思われるにもかかわらず、なぜ進まないのか。今回は、このあたりのことを考えてみたい。
大学の数が多すぎる?
いきなり本題に入る前に、争点を整理することから始めよう。