先日、地元で旧友たちと飲みました。社会人に成りたての頃までは往来があったのですが、その後はお互いの転職や結婚、そして先の大震災やらで、しばらく音信不通になっていました。

 久しぶりに顔を会わせたのですが、懐かしさと安心感がすぐに空白を埋め、お互いの近況から昔話まで、その後の話題は尽きません・・・。

 翌日の二日酔いも後悔にならないほど、楽しい一夜でした。あらためて、同窓会を開きたくなってしまったものです。小学校を卒業してはや30年弱。実家ごと地元を離れた友人たちが多いため連絡も取りにくく、なかなか難しいですが・・・。

「田村」はまだか

  そんな同窓会を舞台にした小説の1つが田村はまだか』(朝倉かすみ・光文社)

『田村はまだか』(朝倉かすみ、光文社、税別571円)

 舞台は、札幌のススキノにあるスナック「チャオ!」。その小さな店内のカウンターを占めるのは、40代の幼馴染みたち。小学校の同窓会から流れて来た彼らは、酒がまわりながらも、友人の「田村」を待ち続けていました。

 父親がおらず、家庭的には恵まれなかった「田村」。しかし、その境遇にも負けない実直で真摯な人柄は、周りの友人たちに大きな影響を与えていました。

 大雪で列車が遅れ、同窓会に参加できなかった「田村」を今か今かと、首を長くしながらチャオで待つ面々。

 果たして、「田村」は無事に合流することができるのでしょうか。そして、なぜに彼らはそこまで「田村」を待ち焦がれているのでしょうか・・・。