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【連載第1回】スマートフォン、SNSの普及に加え、測位技術の発展、さらにはドローンなどの新技術出現によって「位置情報ビジネス」が飛躍的に進化している。そう、世界は今「位置情報3.0」時代に突入しているのだ。本連載では位置情報を活用したビジネスを取り囲む様々なテクノロジーの現状を大前研一氏が解説します。

 本連載では大前研一氏が「位置情報ビジネス」を中心に、テクノロジーを活用した新しいビジネスモデルの実例を解説します。連載第1回では導入として、「位置情報」「FinTech」「ビッグデータ」といったテクノロジートレンドがビジネス利用という点ではどう関連するのかをお話いただきました。

注目すべきテクノロジーが1つにつながる

スマホが全ての入り口に

「位置情報3.0」の周りにはいろいろと注目すべきテクノロジーがあります。まずはやはりビッグデータ。それからIoTやフィンテック(FinTech)、AI(人工知能)もそうです。そして今、位置情報も含め、これらのテクノロジーが1つにつながってきているというのが私の実感です。

 今、これら全てのものが皆さんが手にしているスマートフォンに集約されています。こうした状態を「スマートフォン・セントリック(Smartphone Centric)」と言います。スマホのエコシステムの中に、様々な機能やサービスが取り込まれているというわけです。ですから、これらの技術に関する事業を1つでも取り上げて見てみると、そこにあらゆる技術が入ってきていることが分かります。

位置情報とビッグデータを組み合わせて考える

 たとえばセーフィーという会社は、170度モニターできるカメラとスマホを連携させるセキュリティサービスを提供しています。このカメラで捉えた映像を、自分のPCやスマホで見ることができるというものです。このカメラを自宅の玄関前に取り付けておいて、月々980円払っていれば、誰か来たときにセンサーがそれを感知し、自分のスマホにアラートで通知してくれます。さらに、録画されたデータの1週間分はクラウド上に保存されていますから、もしなにかトラブルがあったときには、それを警察に持ち込めば分析してもらえるのです。

 こうした技術にビッグデータを組み合わせると、三次元画像解析ができて、映っている人間が前科持ちであるかどうかまで分かります。このような組み合わせが実現できるようになっているのです。