米アップルは今週、米サンフランシスコで開発者向けイベントを開き、秋にリリースする予定の、パソコン「Mac」向けOS(基本ソフト)の新版を発表した。
ジョブズ時代からの「還流」をさらに
名称は「macOS Sierra(マックオーエス・シエラ)」と言い、その最大の特徴はiPhoneなどのモバイル端末で提供している、人工知能(AI)を使った音声アシスタント機能「Siri(シリ)」をMacにも導入したこと。
Siriでは、iPhoneやiPad、Apple Watchなどに話しかけて、ウェブ検索を行ったり、地図を調べたり、アラームをセットしたりできるが、Macならではの新機能として、ファイル検索も可能にしている。
例えば「Siri、私が今週見たファイルを探して」と命令し、ファイルの一覧が表示されたあと、「ケンさんが送ってくれたものだけ」と話せば、ファイルを絞り込む。
同社はスティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)の時代から、iPadやiPhoneなどのモバイル端末用に開発した機能をMacに導入する「還流」という手法を取っているが、今回の新版ではそれをさらに進めた格好だ。
機器の垣根を越える「連係」
またアップルはここ数年、同社が「Continuity(連係)」と呼ぶ機能の強化を図っている。これは機器の垣根を越えて作業を継続できるようにするというもの。
例えば、iPhoneで書いていた電子メールの続きをMacで書いたり、iPhoneにかかってきた電話をMacで受けたりできる。
今回の新版では、同社のクラウドサービス「iCloud」を使い、デスクトップに保存したファイルやフォルダーを自動アップロード、別のMacやiPhone、iPad、Windows用パソコンなどからアクセスできるようにした。
またはクリップボードに保存したテキスト、画像、動画をMac、iPhone、iPadの間でコピー&ペーストできるようにする「ユニバーサル・クリップボード」機能も搭載している。