米フロリダ州オーランドで6月12日に起きたテロ事件は、米国が抱える3つの憂慮の根の深さを改めて示すことになった。解決不能と思われるほどの深みを見せられた思いさえある。
3つの憂慮とは、テロリズムとの果てなき戦いであり、次が銃規制、3つ目が性的少数者(LGBT)の処遇である。
100人以上の死傷者を出した米史上最悪の銃乱射事件は、3つの問題とどう向かい合うかを根本的に問うことになった。大統領選の争点として新たに浮上してもいる。
実行犯オマル・マティーン容疑者(以下マティーン)がイスラム国(IS)からの指示を受けていたとの情報もあるが、真の問題はそこではない。
ISの間接的影響
本人は警察に電話で「ISに忠誠を誓っている」と言っており、IS執行部の手の及ばぬ場所で、間接的に影響を受けていた可能性が高い。
この点で、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件と似ている。当事件の実行犯も射殺されたため、動機やISとの関連性は聴取されていないが、ISに忠誠を誓うコメントは残されている。
ISが直接的、または間接的に背後にいたのだ。
しかもテロ攻撃に使用された武器が今回と同じスミス&ウェッソン社製のAR-15自動小銃だった。カリフォルニア州の事件では、凶弾によって14人が死亡し、17人が重軽傷を負っている。
ISから派生したテロ攻撃はいまシリアやイラクだけでなく、確実に米国内に拡散している。ISによるテロの「種子」が米国内に蒔かれたのだ。
しかもマティーンは単独犯である。2013年からISとの関係を疑われ、米連邦捜査局(FBI)の捜査線上に2度も浮上していたが、事件を未然に防ぐことはできなかった。