ワシントンD.C.ののアメリカ合衆国議会議事堂。韓国はワシントンで積極的に米国に向けて政治、外交に関する情報発信を展開している(資料写真)

 日本にとって、国家や国民の真実を世界に発信して伝えることの重要性は言を俟たないだろう。特に歴史認識に関しては、日本が厳然たる事実を事実として国際的にきちんと主張してこなかったため、日本国家は国益を損ない、国民も評判や名声を大きく傷つけられている。慰安婦問題などはその氷山の一角であろう。

 日本が対外発信をする際は、同盟国である米国に向けてのメッセージが特に重みを持つ。それは、何よりも米国の政策や世論が全世界に大きな影響を及ぼすからだ。その意味で、何をどのように米国に向かって発信するかは、日本だけでなくすべての国にとって重要な意味を持つと言ってよい。極端な場合、米国への情報発信の成否がその国の運命を左右することさえある。

オバマ米大統領、韓国で慰安婦に言及 「著しい人権侵害」

韓国・ソウルで、共同記者会見に臨むバラク・オバマ米大統領と韓国の朴槿恵大統領。オバマ大統領は慰安婦問題について「著しい人権侵害」との認識を示した(資料写真、2014年4月25日撮影)。(c)AFP/Jim WATSON〔AFPBB News

 このような背景を踏まえて、米国の首都ワシントンにおける日本政府の情報発信の様子を眺めてみよう。韓国政府がワシントンで米側の官民に対して何をどのように発信しているのかと比較しながら、日本政府の情報発信の現状を報告してみたい。対米発信において、日本と韓国はゼロサムの関係にあると言っても過言ではない。つまり、一方にとってのプラスが他方へのマイナスとなる競い合う関係にあるということだ。

 なお、ここでの対米発信は、米国の政府や議会へのロビー工作、働きかけ、根回しといった“裏側”の動きはひとまず除外して、公開の場での発信活動に絞ることにする。