様々な色の宝石を使って作られたジュエリー絵画

スリランカとの出会いが人生の転機に

 市場が3兆円から1兆円へと3分の1にまで縮小するなかでも着実に成長を遂げる――。その秘密は、社員を大切にする経営に秘密があったことを前回述べた(「市場が3分の1に縮小しても成長し続ける会社」 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46797)。

 日本が長いデフレを経験するなかで、社員を大切にしない企業が増えてしまった。そのつけは人手不足が始まったこれから払わなければならない。

 一方、深刻なデフレと激しい市場収縮の中でも、社員を大切にする経営を貫いてきたジュエリーカミネ(以下カミネ)は、本格的な果実をこれから手にすることになる。

 さて、そのカミネは、実はスリランカに宝石の鉱山を所有している。

 国内に8店舗目をようやく出す、それほど大きくない企業にとって、鉱山まで所有するというのは間違いなく大きなリスクを伴う。何しろ市場は今も縮小を続けているのだ。いわゆる普通の企業だったら、手は出さないだろう。

 しかし、社長を含めここで働く人全員がウキウキ・ワクワクしながら勉強を続けるカミネでは、鉱山を持てるチャンスをみすみす逃す選択肢はなかった。

 海外に鉱山を所有することによって、社長も社員も宝石と宝石のビジネスについてより詳しく勉強するようになるし、宝石を使った新しい市場創造を考えるようにもなる。

 その1つの方向が、ジュエリー絵画だった。絵具の代わりに様々な色の宝石を使って絵画を「描こう」というのである。

 しかも、いわゆる名画だけでなく、日本の得意な漫画までジュエリー絵画にしてしまった。今やサブカルは世界が認める日本の文化の1つ。このソフトに宝石を合体させて新しい市場を創り出そうというのだ。

 学習する組織(Learning Organization)だからこそ生まれた市場と言える。そして、そこには日本の得意芸の1つ、LEDも加わる。様々な色の光を発するLEDで背面からライトアップされたジュエリー絵画は、いくつもの表情を見せる。

 もう「絵画」という枠を超えた新しい芸術作品と呼べる。上根学社長に聞いた。