なぜいつでも新鮮な野菜が並んでいるのか
──どんな直売所を目指しましたか。
山口 やはり、1年間を通じてお客さんに来てもらえるような場所にすることです。
そのためには、常に変化して、自分たちで魅力を作り出していかないといけない。そうしなければお客さんに飽きられてしまいます。
例えば、私は12種類の名刺を持っています。名刺にイラストを描いているんですが、そのイラストを毎月変えるんです。イチゴだったり、ブルーベリーだったり、ぶどうだったり、シュシュに来るといつも「旬」がありますよ、ということを名刺でも伝えているんです。
──常にフレッシュであり続けるということですね。
山口 売り場でも、お客さんがいつ来ても新鮮な野菜が置いてあります。
ほかの直売所では、朝は野菜がたくさんあるけど昼に行くと何もないよねというところが多いんです。それは農家が朝にしか野菜をもってこないからです。
シュシュの直売所では、1日に野菜を何回持ってきてもいいんです。そして、農家は半径2キロ以内に制限しています。それより遠い農家はいません。なぜかというと、遠くて来るのに30分かかるような農家では1日に2回も3回も持ってこれないですよね。
半径2キロ以内の農家だと、みんな5分、10分で来れるんです。例えば、朝に20束のほうれん草を持ってきて、午前中に15束売れたとします。農家は家でPOSデータを見て、あと5束しかないな、今日はあと20束は売れるな、ということが分かります。そして20束をもってきて、また店頭に並べるんです。多い人は1日に5回も6回も持ってきます。
この仕組みだと、お客さんがいる時間帯に農家がやって来ますから、農家とお客さんが直接会話できるというメリットもあります。トマトを持ってきたときに、お客さんから「これ、お宅のトマトなんですか。うちの子供がお宅の甘いトマトしか食べないんですよ」って言われたら嬉しいですよね。そして、もっと頑張って甘いトマトを作ろうという気持ちになるんです。