ミツバチにマイクロセンサー装着、大量死問題解明の一助に

世界中でミツバチの個体数が減少していることを受け、要因解明を目指す調査のためマイクロセンサーを装着されたミツバチ(オーストラリア、2015年8月25日公開、CSIRO提供)(c)AFP/CSIRO 〔AFPBB News

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に続く国際メカニズムとして2012年4月に創設された、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学‐政策プラットフォーム(IPBES)。

 IPBESはその後、精力的に活動を続け、今年の2月22~28日にマレーシア・クアラルンプールで開かれた第4回本会議では「花粉を運ぶ昆虫の経済価値は約65兆円」という最初のアセスメント報告をまとめた。

 このIPBES本会議に政府代表団メンバーとして参加した経験にもとづいて、地球環境問題をめぐる科学外交における日本の役割について考えてみよう。

2016年2月22~28日にクアランプールで開催された第4回IPBESの様子。Photo by IISD/Sean Wu

「人類共通の敵」としての地球環境問題

 もし宇宙人が地球に攻めてきたら、今は対立している国々も互いに協力して「人類共通の敵」に立ち向かうのではないか? 読者の中には、子どもの頃にこんな空想をされた方がきっといらっしゃるだろう。私も、宇宙人が攻めてくればソ連や中国と、合衆国や日本が協力するに違いないと子ども心に考えていた。1960年代のことだ。

 だが意外にも「人類共通の敵」は、宇宙ではなく地球から現れた。地球温暖化などの地球環境の劣化が、我々人類の未来を脅かし始めたのだ。その結果、この「人類共通の敵」に立ち向かうために、かつてない規模で国際協力が始まった。

 その歴史は1992年にさかのぼる。リオデジャネイロで地球サミットが開催され、地球温暖化に立ち向かうための「国連気候変動枠組条約」(UNFCCC)と生物多様性損失に立ち向かうための「生物多様性条約」(CBD)が結ばれ、ほとんどの国連加盟国がこれらの条約に参加した(UNFCCCには195カ国とEUが、CBDには194カ国とEU及びパレスチナが参加している)。

 2つの条約はいずれも「枠組み条約」である。つまり、条約では国際協力の目的と一般的な原則だけを決め、この原則の下で実施する具体的な取り組みは、定期的に開催される「締約国会議」(Conference of the Parties; COPと略される)で議論して決定される。

科学外交における日本の存在感

「国連気候変動枠組条約」(UNFCCC)の下で、日本は1997年に第3回締約国会議(COP3)を京都に招致し、「京都議定書」と呼ばれる国際的な合意をとりまとめることに大きく貢献した。

 京都議定書では、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも5%削減するという目標を設定した。だが、ご存じのとおり、この目標は達成されなかった。