前回の記事「安全のための無農薬なんて『馬鹿のすること』?」では、無農薬農家の4つのタイプを挙げました。
(1)農薬を危険だと考え、安全な農作物を作ろうとする農家
(2)高収益を得る手段として無農薬を選択する農家
(3)自分の栽培スキルを高めようとする農家
(4)生き方、ライフスタイルとして無農薬を選ぶ農家
この4種類はあくまで便宜的な分類で、(1)と(4)とか、(2)と(3)を併せ持つような農家も少なくありませんが、無農薬と聞いて一般に連想されるのは(1)の無農薬農家でしょう。しかし、(1)の無農薬農家が、農村では一番嫌われてしまうのです(その理由を前回の記事でお話しました)。
消費者としては、やはり多くの人が(1)の無農薬農家が育てた作物を口にしたいと思うことでしょう。けれども、実際にはこの4タイプの中で一番危険な作物を作るのが、これもまた(1)のタイプの無農薬農家なのです。
なぜそう言い切ることができるのか? 今回はその理由をお話したいと思います。
農薬でなければ安全なのか?
(1)のタイプの無農薬農家が一番危険な作物を作る理由は簡単です。(1)のタイプの無農薬農家は、「農薬さえ使わなければ安全が確保できる」という単純かつ間違った考え方をしているからです。農薬を使うより危険な資材を使っていても、その自覚がないのです。
安全性についてまず見なければならないのは、毒性の強弱であり、農薬か否かではありません。
無農薬農家がよく使う防虫資材に「ニコチン液」があります。ご存知の通り、ニコチンはタバコに含まれているので、タバコの吸い殻を集めて水に浸けておくと、ニコチン液ができます。