飛行中のミツバチ(出所:Wikimedia Commons)

 「CCD」(Colony Collapse Disorder:蜂群崩壊症候群)と呼ばれるミツバチの減少(大量死)が世界的に問題になっています。CCDの原因は地域によっても違い、複合的な要素もからんでいたりして、今なお謎が多いようです。

 日本でも2008年から2009年にミツバチの大量死が発生しました。そのとき農水省が調査に乗り出しましたが、原因特定までには至りませんでした。有機リン系やネオニコチノイド系農薬が原因ではないかと指摘する声がありましたが、日本で行われた実験では確証が得られていません。

 2013年に大量死が発生したときは、寄せられた被害報告の多くが、水田のカメムシ防除の農薬が散布される時期に発生していました。そのため現在は、農家や養蜂家が連携して、こうした農薬の散布時期に養蜂家が水田近くにミツバチの巣箱を置かないようにするなどの対策を取っています。また、農家が農薬の使用方法を変更するなど、さまざまな対策が検討されています

 この件で容疑者となっている農薬は、ネオニコチノイド系農薬です。代表的な製品を見ると、毒性評価(LD50)が極めて低いとは言いませんが、そこそこ低い薬剤です。環境に対する影響でよく問題にされる「魚毒性」についても「A類」と一番良好な部類に入ります。また、害虫の天敵となるクモ類にも影響はありません。ただし、ハチに対しては問題がありそうです。