コメの偽装について続けます。

 前回(「あなたが食べているのは偽装米かもしれない」)は、偽装には段階があり、どんどんエスカレートしていくことをお話ししました。同一品種だけど産地の違う米を混ぜる第1段階、品種の違う米を混ぜる第2段階、「くず米」を混ぜる第3段階です。今回は、第4~6段階を見ていきましょう。

事故米、加工米を食用に偽装

 偽装の第4段階は、いわゆる「事故米」を食用と偽装したものです。

 2008年の三笠フーズ事件で表面化した偽装米はこれでした。農水省がミニマムアクセス米として輸入したコメのうち、残留農薬やカビ発生のため食用に適さなくなった米を食用に転売したものです。それらは本当は工業用として払い下げた米なのです。

 これは極めて悪質な偽装で社会的影響も大きく、後に農水省は事故米を全て焼却処分にすることにしました。米穀卸や小売りが自社倉庫で事故米を作った場合にきちんと廃棄するかどうかは分かりませんが、消費者の立場からすると、これで最悪の偽装はなくなったと言えるでしょう。

 しかし、生産者の立場からすると、第5段階の偽装は悩ましいものがあります。中には「偽装とは言えないのではないか」と考える消費者もいるかもしれません。

 第5段階の偽装とは、「加工用米」を偽装に使うことです。

 2012年に発生した三瀧商事の産地偽装事件は、日本ライス同様に中国産米を国産米に偽装していただけでなく、加工用米も偽装に使っていたことが2014年8月に判明しました。