最近、東京23区内のサラリーマンの方と意見交換する機会がありました。別件で連絡するついでに、私が書いたこちらの記事(「飼料米への転作でコメ農家は生き延びられるのか?」)の感想を聞いたのです。

 記事の内容は、米価の暴落で大規模コメ農家が窮地に陥り、地域が崩壊するおそれがあるというものでしたが、彼は「言いたいことは分かるが、都市住民に理解されるだろうか」との疑問を呈しました。そもそも彼は、都市(この場合は東京23区内)で農業を続ける人に対して「黒い感情」を持っていると言うのです。

 大都市やその近郊の元農家は、高騰する地価のおかげで労せず金持ちになり、現在農家を続けている人も土地のさらなる値上がりを待っているだけではないのか? それが「黒い感情」の正体です。

 持たざる者の嫉妬と言い捨てることもできますが、私自身、大都市でサラリーマンをやっていた経験もあるわけで、確かにそういう感情を持たれるのも分かります。それどころか、そういう人がどれだけ多いか、実は彼以上に知っていたりもするのです。

 かといって、彼の言うことに全面的に賛同できない自分がいます。大都市のサラリーマンのメンタリティを知りつつも、農村のメンタリティも理解できる境界線上に私がいるからです。

 正直なところ、このテーマで書くと宗教の異端論争に匹敵する論争になりそうで気が重いのですが。一時期流行したキャッチフレーズである「都市と農村の共生」にきれい事ではなく本気で踏み込める人も限られると思いますので、無謀にも私が踏み込んでいくことにします。