日本は地域によって気候が千差万別。作物栽培はその土地の気候にあった環境制御が求められる(資料写真)

 最近、日本の農業はオランダに学べといった論調が多くなっています。オランダがモデルとして扱われるのは、国土が狭く、農業を行う環境が良くないにもかかわらず農産物の輸出大国として成功しているからです。

 しかも、世界2位の農産物輸出大国ですから、たいしたものです。そうなった要因はいろいろありますが、作物栽培に関しては以下の2点が挙げられます。

(1)選択と集中で花卉(かき)やトマト、パプリカを中心とした大規模な施設栽培の比重が高く、輸出品として競争力を持っている。その反面、食糧自給率は低いままで捨て置かれている。

(2)ハイテク環境制御システムを駆使して施設内の環境を整え、安定的に高品質の作物を生産することが低コストで可能となった。

 農業の危機とは、要するに所得の問題です。農業に携わる者の所得が向上すれば解決するわけです。もともと農業の適地とは言えなかったオランダは、それゆえに作物としてはチューリップなどの花卉やトマトなどに力を入れ、栽培法としては施設栽培に力を入れてきました。そんな国が、食糧自給を最初からあきらめて自分たちの勝負できる土俵で成功したと言うことで、オランダに学べという意見が出てくるのも当然でしょう。