バゴーにあるシュエモード・パヤーには、地震で落下した仏塔先端部が 飾られている=『MYANMAR JAPON』北角裕樹・統括編集長提供

求められる複眼人材

 今回のセミナーは、ヤンゴン工科大の先生たちをはじめ、ミャンマーの土木関係者が初めて顔を合わせ、自分たちの国土について理解を深めたり、海外の研究者の発表を聞くことができたという意味で、非常に意義深いものだったと言える。

 しかし、初の試みだったこともあり、それぞれの話者が順番に発表しただけ、という印象が拭えなかったのも事実だ。

 藤吉さんは、「例えば地震についても、いつ、どこで、どれぐらいの規模のものが発生しているかについて地質学的見地から分析するだけでは不十分。それを踏まえて“今後この国で整備するインフラにはどのような設計上の配慮が必要なのか”という土木技術的な観点から分析できる人材の育成が必要」なのだと指摘する。

 高い専門性を持つ人材と、その専門性を現場にどう生かすかという視点を併せ持つ複眼的なコンサルタント人材の両方を育成することこそが、この国の真の発展を実現するための“解”であるようだ。

 「ヤンゴンは、交通システムも上下水道も整っていない。この国の発展に貢献するために、もっと経験を積んでプロフェッショナルになりたい」。力強く語るラットさんら現地の技術者たちの双肩に、この国の未来がかかっている。

(つづく)