いわゆる集団的自衛権を認める「平和安全保障法案」の成立の見込みが高まっている。
7月15日、衆院平和安全法制特別委員会で採決が行われ、16日に衆院本会議で与党の賛成多数で可決された。これで仮に参院で野党の引き伸ばし戦略にあって60日以内に採決されなかった場合でも、再び衆院で3分の2以上の賛成をもって可決すれば法案の成立が可能となるため、事実上平和安全保障法案の成立は確定することになる。
批判の内容は大きく3つ
この法案を巡っては様々な批判がなされたが、その内容は大きくは3つに分類される。
1点目は「違憲立法の可能性」を巡る議論である。衆議院での公聴会に招かれた3人の憲法学者がいずれも同法案に関して「違憲である」との見解を示したことに代表されるように、我が国の法律の専門家の間ではこの法案は「従来の憲法解釈を大きく逸脱し違憲である」との認識が大勢を占めている。とはいえ一部には合憲論を唱える学者がいることも間違いなく、違憲性を巡る議論は国会でいかに白熱しようとも、最終的には違憲性を判断するのは学者ではなく司法機関であるため、この種の批判は残念ながら神学論争の域を出ないものとなっている。