50年以上前に戦後賠償によって供与された連動装置の銘盤
タウングー駅のホーム中ほどに建つシグナルタワー
 

 駅も、旧城壁の中にある。このあたりでは最大の駅だ。といっても、規模としては、日本の地方都市の郊外をとことこ走るディーゼル列車の停車駅とほぼ同じといったところだろうか。

 ホームの中ほどに3階建ての小屋が建っていた。「シグナルタワー」だ。1階は電源室、2階は信号機器室、そして3階は信号指令室になっている。

 2階部分に上がると、成人男性の背丈ぐらいのガラスケースが部屋いっぱいに何列も並べられているのが目に飛び込んできた。たくさんの四角い箱が隙間なくケースの中に積み重ねられている。リレーを用いた連動装置だ。1つ1つがケーブルでレールまでつながっているという。

 銘盤に「KYOSAN ENGINEERING WORKS」という文字が刻まれているのに気が付いた。日本の信号機メーカーの1つ、現在の京三製作所だ。1957年製。戦後賠償として日本が無償で入れた機材の1つだという。ちゃんと稼働しており、カチ、カチ、カチ・・・という小さな音と低いモーター音が響いている。

 「日本では30年おきに新品に交換している。こんなに長い間使い続けていることに驚く」と近藤さん。

 このタイプはかなりの年代モノで、もはや日本には残っていないという。「ここはまるで信号の博物館」という近藤さんの言葉を聞き、長年、地道に維持管理をしてきたこの国の信号技術者たちの姿を思い浮かべた。

タウングー市の入り口にそびえる門
古都タウングーで遊んでいた子どもたちがカメラの前に集まってきた