50年間の信頼

 あたかもショーケースのように各国の信号システムが納められているミャンマーの鉄道。

 供与されてわずか数年の間にほとんどが機能しなくなってしまう中、50年以上前に供与された日本製の信号システムが今なお動き続けていることは、ミャンマー国鉄(MR)の職員たちの目に、さぞ驚異的に映るのだろう。近代化に向け、この国からは日本製の信号への要望が強く寄せられている。

 実際、国によって信号の仕組みはまったく異なっており、操作から維持管理、保守点検までそれぞれ独特のやり方を学ばなければならない現状を考えると、適切に維持管理する人材を効率的に育成し、配置するためにも、部分的な機材のリプレイスではなく、システムの統一が望ましいと言えよう。

 「列車を検知して指示を出す信号は、まさに鉄道全体の“心臓部”」だと胸を張る近藤さん。その姿は、50年の時を超えて動き続ける日本製の信号に信頼を寄せるこの国の人々に応えたいという使命感に燃えている。

昔使われていた機関車が飾られていた
ピュー駅のホームで親子連れが列車を待っていた
 

(つづく)

本記事は『国際開発ジャーナル』(国際開発ジャーナル社発行)のコンテンツを転載したものです。