一方、ヤンゴン市民の「足」である環状線鉄道の近代化に対しても、日本の協力が検討されている。
JICAは2014年4月より15年3月まで「ヤンゴン環状鉄道改修事業準備調査」を実施。
山手線の1.4倍の距離ながら、一周するのに約3倍の3時間を要するほど線路の老朽化が深刻なこの環状線の近代化に向けたインフラ整備と、駅および駅周辺の一体開発についてのフィージビリティー調査を、オリエンタルコンサルタンツグローバルと日本工営の共同企業体が受注した。
また、民間ベースの取り組みも非常に盛んだと東氏は話す。中でも大きな注目を集めているのが、ヤンゴン中央駅の改修・開発計画。関心表明にはシンガポールやタイなど30グループ以上が名乗りを挙げ、大規模な国際入札になることは必至だという。
とはいえ、MR自身にとっては、これほど大規模な入札事業は初めてであるため、日本は同省からの相談に応え、サポーティングコンサルタントとして入札支援を行うことを決定。
日本コンサルタンツ(JIC)とオリエンタルコンサルタンツグローバルが、ヤンゴン中央駅の将来を見据え、駅構内や周辺用地の開発エリアを線引きするゾーニングや入札図書の作成支援にあたっているという。
さらに、鉄道の運行には欠かせない気動車の更新も喫緊の課題だ。東氏によると、ミャンマー国鉄は現在、約200両の気動車を所有しているが、うち半分は壊れて使いものにならない状態だという。
もともとこの国の気動車は、日本で使われなくなったものをミャンマーの商社が買い付け、軌間を調整して納入しているが、設計図面や維持管理の方法がきちんと伝えられておらず、1台が壊れると、別の1台の部品と交換して使っているため、こうした状況になっているという。