漬け物の代表格、糠漬け。糠と塩のなかに野菜を入れて混ぜるだけで、生野菜とは味が一変する。

 最近、小さな漬け物用ポットを買った。

 耐熱ガラスの器に同じくガラス製の重し、それに密閉できる蓋がついている直径10センチほどのものだ。

 余った野菜を適当に切って、塩をふり、細く刻んだ昆布と輪切りの唐辛子をぱらり。夜に仕込んでおくと、翌朝には野菜から出た水分に野菜がずぶずぶと沈み込んでいる。

 これまでも瓶やジッパー付きの保存袋を使って、簡単な塩もみなどをつくることはあった。でもやっぱり重しの威力はすばらしい。重しがあるというたったそれだけのことで、味の沁み込み具合がこうも違うのかと驚いた。

 そこで少し調べてみると、重しの効果は一目瞭然だった。

 もっとも塩をふりさえすれば、浸透圧の関係で野菜のなかの水分は出ていく。だが、押されることでより一層、水分は排出されやすくなる。そうして漬け汁の中に材料がすっかり漬かることで、空気にふれなくなり、変質しにくくなる。また、野菜の中に塩が入り込むことで調味される。