「混ぜる」は料理の基本的な動作の1つだ。
そのことは料理の本を見るとよく分かる。「調味料をよく混ぜる」「材料を切って混ぜ合わせる」「卵をよくかき混ぜる」などなど、「混ぜる」はレシピの最初から最後まで様々な工程に登場する。
これは取り上げないわけにはいかないだろうと思ったが、いかんせん「混ぜる」はとらえにくい。
例えばうどんの麺を作るときも、最初は小麦粉と塩、水を混ぜ合わせるが、次の段階では力を加えて混ぜる、すなわち「こねる」に移行していく。材料を混ぜ合わせるにしても、フライパンの上で焼きながらだと、それは「炒める」になる。つまり、「混ぜる」という動作は、それだけで完結するというより、ある動作の前段階であったり、その中に含まれるものであったりするのだ。
また、道具にしても、ほかの用途にも広く使われる多機能なものが多く用いられている。卵などをかき混ぜるときに使う菜箸はその最たる例で、食材をほぐしたり、料理を盛りつけたり、なにかにつけ使う万能道具だ。また、スープなどの液体を混ぜるときのお玉はどちらかと言えば「すくう」という役割の方が重視されているものだ。